研究概要 |
現代社会において,安全の確保は様々な分野で期待されている課題のひとつであるが,従来,主に人の監視によっておこなわれてきた.しかし,作業削減や交通機関の発達による混雑の増加に伴って,機械システムによるサポートへの期待が高まってきている.人による監視を支援する事のひとつとして,カメラを用いたシステムが挙げられる.さらに近年では,従来のシステムに比べ複数のシステムを結合・統合することで構成される,より上位のシステムが期待されるようになってきている.そこで本研究の目的は,できるだけシンプルなカメラシステム(視覚セルと呼ぶ)を多数,ネットワークで接続することで,広い空間を監視可能なシステム(ネットワーク分散型監視システムと呼ぶ)を提案することにある.本年度はこの目的を達成するために,三次元仮想空間を構築するためのプログラミング言語であるVRML(Virtual Reality Modeling Language)と計算用のソフトウェアであるMatlabとSimulinkを用いて,三次元シミュレータを作成した.このシミュレータでは,パン・チルト・ズームの機能を有するカメラを視覚セルとし,人物の動きを個々の視覚セルから得られるベクトル情報から推定可能であることを確認した.また実験の準備として,まずは固定カメラで得られる画像情報を分割し,擬似的に視覚セルを構成した.この視覚セルから得られるベクトル情報を用いて,シミュレーションの際と同様に,人物の動きを推定する方法を検討した.また,カメラを複数台用いて視覚セルの数を増やすことで,異なるカメラから得られる画像を直接つなげることなく,監視する範囲を広げられる可能性が高いことを実験的に確認した.
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