研究概要 |
厳密線形化が可能でない系を含む非線形制御系の大域漸近安定化問題へのアプローチのひとつに「勾配的Morse-Smale制御系」の理論がある。本研究は,制御系の位相幾何学的な対称性の概念に基づき,低次元の勾配的Morse-Smale制御系の設計・解析のための支援ルール群を開発することを目的とする。本年度は状態空間が2次元の場合に限定した上で,(1)特異点配置問題の解析ツール,(2)ホモロジー接続行列の解析ツール,および(3)システムの対称性の解析ツールの暫定版の開発およびそれに伴う理論の整備を行った。(1)は与えられた制御系に対して,コンパクトアトラクタを持つ勾配的Morse-Smale制御系の設計が可能であるかを判定し,そして可能ならばその基本仕様を定めることを目的としている。ここでは,その中心課題であった制御系の散逸境界の探索アルゴリズムの2次元暫定版の開発と理論の整備を進めた。(2)は与えられた制御系が許容する閉ループ系の位相幾何構造をすべて列挙するアルゴリズムであって,そのコンパクトアトラクタのCW複体としての表現を与えることを目的としている。ここでは,これを6つのサブアルゴリズムに分割すれば,そのCW複体が状態空間に埋め込み可能であるか否かの判定を含めてほぼ自動化可能であることを明らかにし,その詳細な内容を検討した。(3)はホモロジー接続行列の対称性を解析し,閉ループ系のヘテロクリニック分岐の様相を明らかにすることを目的としている。ここでは,対称性に基づく接続行列の分類アルゴリズムの詳細を検討し,その暫定版を開発した。
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