研究概要 |
セメント産業においては、持続可能な社会への貢献が求められており、セメント製造時における廃棄物使用量を増大させることが要望されている。廃棄物はAl_2O_3がセメントの組成に比べて高いので,廃棄物処理量の増大のためには間隙相量を増加しなければならない.しかし,間隙相量の増加は,セメントコンクリートの流動性や水和収縮あるいは組織形成において問題となる可能性が高い.また、セメント製造におけるCO_2削減対策としては、混合セメントとしてクリンカー使用量を減少させることが最も効果的である。従って、セメントの間隙相量の増加した場合の混合セメントの材料設計について整理しておく必要がある。 本研究では1)水和反応解析に基づき混合セメントの材料設計上考慮すべき事項の整理、2)混合材として十分な検討がなされていない高炉徐冷スラグの特性、3)間隙相量の功罪、4)間隙相量の増大セメントにおける混合材による流動性制御方法について検討を行い、混合セメントおよび今後の汎用セメント材料設計する要素技術を整理するとともに統合的な材料設計手法を提案した。高炉スラグ微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、フアイアッシュおよび石灰石微粉末を混合材として利用した際の、それ自体の反応やセメント構成化合物の反応への影響について整理し、化学組成、粉末度やガラス化率など材料設計上考慮すべき事項を総括した。さらに、高炉徐冷スラグの還元効果などについても検討した。また、セメント中のアルミネート相は、有害イオンの固定化について有効であるが、流動性へは悪影響があることやアルミネート相を8%程度以下にするとセメントの流動性の制御が容易であることなどを明らかにした。さらに廃棄物使用量を増加させ、アルミネート相を増加させたセメントの流動性を制御する方法としては、混合材を20〜30%程度使用して、アルミネート相量を低下させることが有効であることを明らかにした。
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