研究概要 |
近年,海砂の採取禁止を含めて良質なコンクリート用骨材資源の枯渇が深刻な問題となってきている。その一方で,限りある資源の有効利用や産業廃棄物の再利用,CO_2の削減や環境負荷の低減など,循環型社会の構築が求められている。このような観点から,本研究では,建設廃材や産業廃棄物として,(1)真砂土,(2)焼却灰溶融スラグ(急冷スラグと徐冷のスラグ),(3)廃瓦(山陰と瀬戸内で製造された焼成温度,使用材料が異なる廃瓦),を廃棄物として採り上げ,これら廃棄物から製造した粒状体をコンクリート用骨材として有効利用の方策を探り,併せてこれらの比較的低品質骨材から高性能・高機能を付与したコンクリートをも製造する技術を開発することを目的としている。すなわち,本研究においては,上述の各種の骨材に対して,コンクリートの適正な配合設計方法の確立,使用骨材の物性とそれらの骨材を用いて製造したコンクリートのフレッシュ性状,および硬化後の物性(強度,変形性状,乾燥収縮,凍結融解抵抗性),さらにはこれらの骨材を用いたコンクリート構造部材の静的および繰返し荷重下における強度と変形性状,ひび割れ抵抗性等を明らかにすることによって,適材適所のコンクリート使用法を探るための研究を行うものである。 本年度の研究では,上記(1)〜(3)の低品質骨材に対して物理・化学的試験を実施し,(1)と(3)の骨材は,密度が小さく,吸水量および微粒分量が多いことを確認した。また,化学的試験により,これら(1)〜(3)の骨材においては,アルカリ骨材反応性はなく,化学的抵抗性も大きいこと,重金属含有量は問題にならない程小さいこと,などが明らかとなった。コンクリートの試験に関しては,これらの骨材から圧縮強度40N/mm^2程度のコンクリートの製造が可能であること,普通コンクリートに比べて,フレッシュ性状や乾燥収縮は同等であるが,凍結融解抵抗性はやや劣る等の知見を得ている。
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