研究概要 |
本研究では,低品質骨材として(1)真砂土,(2)焼却灰溶融スラグ(急冷スラグと徐冷のスラグ),(3)廃瓦(山陰と淡路島で製造された廃瓦)を採り上げ,これら低品質骨材をコンクリート用骨材として有効利用する方策を探り,併せて低品質骨材から高性能・高耐久性を付与したコンクリートを製造する技術を開発し,コンクリート構造物に適用することを目的としている。すなわち,本研究においては,上述の各種の骨材に対して,コンクリートの適正な配合設計方法の確立,使用骨材の物性とそれらの骨材を用いて製造したコンクリートのフレッシュ性状,および硬化後の物性(強度,変形性状,乾燥収縮,凍結融解抵抗性),さらにはこれらの骨材を用いたコンクリート構造部材の静的および繰返し荷重下における強度と変形性状,ひび割れ抵抗性等を明らかにすることによって,適材適所コンクリートを使用した構造物を構築するための技術開発を行うものである。 本年度の研究では,上記(2)〜(3)の低品質骨材のみを用いたコンクリートの物性に関しては,細骨材量の10〜15%を石灰石微粉で置換することによってフレッシュ性状および耐凍結融解性が改善されることを見出した。さらに,(1)〜(3)の低品質骨材のみを用いたコンクリートによってRCはりを作製し,静的および疲労試験を行った。その結果,これらのRCはりの破壊様式は通常のコンクリートはりと同一の破壊様式を示し,(1)静的な曲げひび割れ耐力,せん断耐力,曲げ耐力は,コンクリートの種類の相違や鉄筋量の多少に関係なく,通常RCはりと同等で,土木学会コンクリート標準示方書によって正確に予測できる,(2)ひび割れ性状,変形性状も通常のコンクリートと差がない,(3)疲労に関しては,溶融スラグを用いた無筋コンクリートの圧縮疲労強度は通常コンクリートよりも5%程度小さくなるが,RCはりの疲労強度には差異がない,などの知見が得られた。
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