研究概要 |
廃棄コンクリートを高度処理して得られた再生骨材を全量用いた高級コンクリートとしての高流動コンクリートを開発するため,骨材として再生骨材のみを用いた高流動コンクリートの力学的性質および長さ変化率に関する基礎的検討を行った。 再生骨材は,昭和30年代に建設された事務所ビルの壁面から得られた廃棄コンクリートを高度処理し,粗骨材,細骨材大および細骨材小の3粒度に分けて生産されたものを用いた。再生骨材の品質としては,粗骨材の部分はコンクリート用再生骨材Hに該当し,細骨材大および細骨材小はコンクリート用再生骨材M(JIS原案)クラスのものである。 これら3分類された再生骨材が生産される割合と同じ割合で再生材を使用することで,全量用いることができ,廃棄部分を発生させないことができる。しかし,粉体が多いため,これを有効利用するために高流動コンクリートを対象とし,セメントを3種類用い,スランプフロー65±5cmとなる配(調)合を試験練りを行って求めた。 求められた配(調)合のコンクリートの圧縮強度,曲げ強度および長さ変化率を求め,JASS5の高流動コンクリートの基準と比較した。その結果,いずれのセメントを用いた配(調)合でも,材齢28日の圧縮強度はこの基準を満足するものとなったが,長さ変化率はJASS5基準を満足しない結果となり,今後の課題であることが分かった。 しかし,使用法を工夫することで,廃棄コンクリートから得られる再生材を全量用いて一般的なコンクリート構造物に使用できる高流動コンクリートを得られる可能性があることが分かった。
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