研究概要 |
まず,道路交通騒音の低減が可能なポーラスコンクリートを開発するため,等価騒音レベルの低減効果に関する研究を行った。騒音低減効果の検討にあたり,100〜2000Hzの範囲の各1/3オクターブバンドの周波数の等価騒音レベル(以下Leqと略記)を用いた。また,同時に作製した円柱供試体に対して垂直入射吸日率も測定し,回折の影響をできる限りなくすよう,音源をポーラスコンクリートパネルで囲ったときのLeqとの関連についても検討した。パネルの作製にあたり,セメントには普通ボルトランドセメントを,骨材には南九州に産するぼら,石灰石ならびにFNSの3種類を用いた。Leqを測定するにあたり,ポーラスコンクリートパネルで音源を囲み,回折音の影響を極力なくすようにした。騒音として,吸音率の測定に用いた周波数域と同じ100〜2000Hzの範囲の1/3オクターブの周波数音を発振機によって発生させ,普通騒音計を用いて各測点でのLeqを測定した。その結果,1)吸音性能評価指標としての吸音面積率や騒音低減係数と同様な考え方によって導入した騒音低減面積率や騒音レベル低減係数は,騒音低減効果を評価できる指標となる,2)周波数域別に騒音面積低減率を評価したところ,1000〜2000Hzの範囲の高周波数域での低減率が最も大きかった,3)吸音率および有効ΔLeqの周波数特性曲線において,それぞれのピーク周波数は一致せず,吸音特性と騒音低減特性は異なったものとなる。すなわち,吸音率がピークとなる周波数の音のエネルギーは一部パネルの空隙を通過することになり,かならずしも騒音レベルが低減することにはならない,4)使用骨材別にみると,FNSを用いた場合に騒音低減効果が最も高くなり,これは粒径が他の骨材よりも小さいために空隙径が小さくなり,空隙率も他の骨材の場合より小さいためと考えられる,5)パネル厚さが騒音低減に及ぼす効果を騒音低減面積率や騒音レベル低減係数で評価したところ,考える周波数域にもよるが一般に厚い方が高くなる,ことなどが明らかになった。 ついで,水質浄化機能については、実験室内に設置したポーラスコンクリート供試体に人工汚水を流入させ、人工汚水中に含まれる全窒素(T-N)、全有機炭素(TOC)および全リン(T-P)の除去効果を検討した。さらに、実河川での適用性についても検討を加えた。その結果,1)実験室内では、TOCを60〜80%,T-Pを20〜40%,T-Nを90%程度除去できた。これに対して,実河川ではT-Pについては実験室内とほぼ同様の結果を得ることができたが、T-Nについては高い除去率を得ることはできなかった。今後の課題としてさらに研究を進める必要がある,ことなどが明らかになった。
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