研究概要 |
舗装のアスコン層の弾性係数は,その温度により大きく変化することが知られている.そこで,アスコン層内部の温度を予測できることが重要である.また,アスコン層内部の温度は,気象の変化,舗装を構成する材料の熱特性値の影響を大きく受ける.気象データを用いて熱特性値を推定する方法を開発し,測定データからアスコン層,路盤,路床の熱容量,熱伝導係数のような材料の熱特性を求めている. また,アスコン層の弾性係数と温度との関係を求めるため,FWD試験で測定した表面たわみとアスコン内部の熱電対から得られた温度分布を用いてアスコン層の弾性係数と温度との関係式を求める方法を提案している.そして実測データを用いて,対象となる舗装の弾性係数の温度依存モデルを構築した.アスコンはその種類によりかなり弾性係数が異なるように思われるので,温度との弾性係数の関係のデータベースを整備することが重要である. FWDは衝撃荷重を作用させ,舗装表面を伝播する波を複数のセンサーで計測している.FWDのたわみデータから舗装を構成する各層の弾性係数を推定する方法として,静的逆解析と動的逆解析がある。静的逆解析は衝撃荷重のピーク値とたわみのピーク値は準静的な荷重とたわみの関係であると仮定して,順解析に静的モデルを用いて測定たわみと解析たわみを求める方法である.それに対して,動的逆解析は測定した荷重波形とたわみ波形を用いている.測定した荷重を用いて動的解析して求めたたわみ波形が測定したたわみ波形と一致するように,各層の弾性係数と減衰係数を求める.どちらの方法も非線形最小自乗法となり,初期値を仮定して繰り返し計算を行う必要がある.本研究では,初期値が逆解析結果にどの程度影響するかを調べている. 以上から,アスコン内部の温度予測モデルの構築,アスコン温度と弾性係数の関係の整理,FWD試験データを用いた逆解析について新しい知見が得られた.
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