研究課題
基盤研究(C)
以下のような研究成果をあげた。1.観測波形から直接、2000年鳥取県西部地震の震源の断層上の応力変化を推定した。断層中央浅部と深部で大きく応力が低下したこと、応力はほぼ単調に1〜1.5sもしくはそれより短い時間内に低下したことなどを示した。2.基盤の横ずれ断層運動によって表層地盤内で生じるすべりについて、個別要素法解析を行って調べた。初期段階においては、地盤内部では基盤の断層の両側で断層から斜め上方へと伸びるせん断帯が形成され、その後、基盤断層を横切る形状のせん断帯が形成されてそれが地表まで達して雁行状のリーデルせん断帯を形作ること、さらに断層変位が増すと、基盤の断層とより低角度で交差する2次的なせん断帯が現れることなど、模型実験でせん断帯が形成される過程を数値解析で再現した。基盤の断層から両側へ伸びるせん断帯については、横ずれに伴う水平面内のせん断変形に加えてダイレタンシーに起因していることを、基盤の断層を横切る形状のせん断帯については水平面内と鉛直面内のせん断によって生じていること示し、横ずれ断層に伴って地盤内部で生じるせん断帯の形成メカニズムを明らかにした。3.横ずれ断層模型実験を行い、表層の地盤の一部を異なる特性を持つ地盤材料に置き換えることによって、基盤断層によって表層地盤内に形成されるすべりの位置やすべり量が変化することを示した。4.構造物と地盤の非線形材料構成則を組み入れた3次元有限要素モデルを用いて、構造物-地盤の相互作用を考慮した解析を、杭基礎を対象に行った。変形特性を適切に考慮することで実大コンクリート杭の杭頭水平荷重時挙動を精度よくシミュレートできることや、静的解析と動的解析で地盤の歪み状態が異なることなどを示した。
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