研究概要 |
平成17年9月上旬に実施した伸縮装置部および支承部の移動量と橋梁上を通過する車両の種類および走行速度との関係を分析したが、特に有意な関係が認められなかった。これは、車両重量が精度良く把握できず、また、車両の連行により橋桁に複雑な振動が生じているためと考えられる。従って、今回の実測結果から道路橋の伸縮装置部および支承部の挙動をモデル化することは見送らざるを得ないと判断した。今後は、高速道路ではなく、車種が特定でき、かつ、積載重量もある程度予測可能な一般国道に架かる橋を対象として、実測を試みる予定である。 解析的手法による低周波音低減対策工法の効果比較に関しては、ねじれ振動(橋面の3次元的な挙動)が低周波音の音圧レベルに及ぼす影響を考慮できる3次元FEM解析プログラムを構築し、平成14年9月上旬に低周波音の実測が行なわれた東海地区に架かる高架橋(3径間連続鋼製1型多主桁橋)を対象としてTMD(同調質量減衰器)を複数個設置する場合の、最適な設置場所、設置個数について検討を行った。その結果、この高架橋に各々の径間に4基ずつ総計12基のTMDを設置することにより、4.3[Hz]付近の1次の振動に対して3〜4[dB]、5.1[Hz]付近の2次の振動に対して7[dB]程度の音圧レベルの低減効果があることが明らかとなった,また、設置するTMDの個数を少なくすると低周波音の低減効果も減少すること、橋上を通過する車両の走行状況(連行か並走か、どの車線を走行するのか等)によっても低減効果に違いが見られることも結果として得られた。
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