研究課題
基盤研究(C)
高耐久性のある床版でも表面を無防備であると、アスファルト舗装に浸入した雨水が床版コンクリートに骨材化現象を起こさせ、疲労破壊する.このため、現行の道路橋示方書で、床版と舗装の間に防水工を設置することを義務付けた.しかし現在まで、輪荷重の繰り返し載荷に耐える防水工はまだ開発途上にある.また、防水工に防水性があっても床版や舗装との問の接着性が弱いと、早期に舗装の流動化が起こり、床版中のひび割れの動きによって破壊する.道路橋床版専用の防水工の開発が急がれるとともに、床版+防水工+舗装の三位一体の疲労耐久性の評価法の確立が切望されている。本研究者らは輪荷重によるせん断力の繰り返しによる舗装の流動化を評価するため、回転せん断疲労試験機と、舗装の耐久性を調べる新方式のホイールトラッキング試験機を開発している。これらを用いて、これまでに開発された各種の防水工と舗装との接着疲労強度について比較検討して、道路橋床版への活用性を評価し、合理的な防水工の評価法を確立するものである.研究成果として、まず、開発したRWTの横移動が与えた確率分布どおりの動きをするか否か、試験時の温度と舗装の流動性の関係、計測方法等の試験条件を決める予備試験を実施し、検証すること、試験時温度は50℃で舗装が適度に動き、防水層の床版あるいは舗装間の接着性が評価できることを検証した.その後、高機能の塗布系とシート系に着目して、『床版+防水工+舗装』の積層モデルでRTVWT試験を実施した.結果は高機能防水工の高い耐舗装流動抵抗性が評価できた.抵抗性の高いウレタン防水は道路橋のみならず、飛行場の滑走路や誘導路にも適用できることを従来品との比較で検証できた.さらに、最近疲労が問題である鋼床版の高耐久化を、その上にコンクリートを打設して合成化することによって達成できることを過去の研究を基にして示したが、本構造における表面コンクリートにも水の浸入を遮断するための防水工が必要である.この合成鋼床版化に繊維補強した特殊モルタルコンクリート(ECC)を対象に、舗装の流動性を調べた.結果として、ECCは普通コンクリートと大きな差異がなかった.以上の研究成果から、本研究で用いたランダムトラバースホイールトラッキング試験機ならびに回転せん断疲労試験によって、床版+防水工+舗装の三位一体の耐久性評価が適切に行えることを証明し、今後の標準試験方法として有用であることを結論とした.
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第62回土木学会年次学術講演会論文集 V(投稿中)
平成19年度土木学会関西支部学術講演会講演概要 V(投稿中)
Proceedings 62th Annual Meeting of JSCE
Proceedings Annual Meeting of Kansai Branch of JSCE (in printing)
第5回道路橋床版シンポジウム講演論文集(土木学会)
ページ: 143-148
平成18年度土木学会関西支部学術講演会講演概要
ページ: V-7-V-8
土木学会第61回年次学術講演会論文集 V
ページ: 187-188
Proceedings of 5th Symposium of highway bridge slabs of JSCE
Proceedings Annual Meeting of Kansai Branch of JSCE, 2006
Proceedings 61th Annual Meeting of JSCE