研究概要 |
一般に無筋アーチ構造として建設されるトンネルの覆工コンクリートの健全度評価には,生じたひび割れの幅・長さ・密度だけでなく,ひび割れの方向性や発生部位による評価が重要である.また,現在の健全度評価に関する諸機関の管理基準では,一定のランク分けによる健全度評価法が採用されているが,将来の合理的な維持管理計画を立案する上で,より客観的かつ定量的に健全度を評価できる指標が望まれている.本研究では,研究代表者らが提案している覆工コンクリートの健全度評価のための新指標(トンネルクラックインデックス:TCI)の適用性を本研究遂行のために新規購入した三次元数値解析ソフトウェアによる数値シミュレーションで検討すると同時にTCIをベースとしたトンネル健全度評価システムの開発をおこなう. 本システムは,データベースシステムおよびGISによる空間表示システムからなり,今年度は,山口県の協力を得て,道路トンネルデータベースシステムの構築を行い,GISによってデータベースの抽出結果の表示の試行を行った. 具体的には,山口県が管理している113トンネルの紙ベースのトンネル台帳をスキャニングし台帳に記述されているトンネル緒元(トンネル位置,全長,等級,寸法など)を電子データとしてデータベース化した.そのデータベースには,トンネル台帳の他に2種類のトンネル坑口緊急点検調査票,トンネル覆工点検データに基づくTCIの分布量も追加した.そして,それらのトンネルの諸量をArc Viewを用いてトンネルの施工位置にGISによって表示できるようにし,GISからトンネル台帳の情報や既設トンネルの健全度状況(TCI分布)が表示・検索できる地図情報システムを作成した.
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