現在、鋼橋の疲労設計は「鋼道路橋の疲労設計指針」に基づき実施されている。同指針においては、T荷重に活荷重補正係数を乗じたものを疲労設計荷重として用いるよう規定されているが、交通流特性を十分反映した規定にはなっておらず、また鋼製橋脚等への適用性が不明確である。本研究は鋼製橋脚を含む鋼道路橋に対する、交通流特性を考慮した疲労設計荷重について検討するものである。本年度はその最終年度に当たるため、これまでと同様の手法を用いて、鋼桁橋、鋼製橋脚それぞれに対して活荷重補正係数(T荷重補正係数および同時載荷係数)を算定してその支配因子を調査し、両者に共通して使用可能な疲労設計荷重の提案を試みた。 対象構造は、2車線鋼桁橋と単純桁あるいは3径間連続桁を支持する鋼製門形ラーメン橋脚とし、前者については単純桁橋の支間中央部、3径間連続桁橋の中央径間中央部および側径間中央部に、後者については軸力と曲げモーメントが同時に変動する隅角部柱側に着目した。疲労損傷度を求めるためのシミュレーションにおいては、交通流および構造の特性を表す各種パラメータを変化させた。 その結果に基づき、T荷重補正係数(定義が指針の規定とは異なる)を大型車重量の3乗平均値の3乗根と影響線基線長の関数として、同時載荷係数を1車線あたり日大型車交通量と影響線基線長の関数として表現した算定式を提案するとともに、今回対象とした鋼桁橋および鋼製橋脚に対して疲労損傷度に関する誤差が概ね20%以内であることを検証した。さらに、これまでに実施した一連の検討の内容とその結果を報告書として取りまとめ、関係各所に配布した。
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