研究概要 |
近年,社会資本のひとつである土木構造物の経年劣化が進行している.土木構造物の効率よい維持管理のためには,精度のよい劣化予測・適切な事後評価システムの構築が急務となっている.さまざまな腐食環境下におかれた鋼部材について,綿密に腐食形状の計測し,腐食鋼部材の耐荷挙動特性を把握することは,将来の鋼構造物の余耐力予測・余寿命予測に結びつく基礎資料を与えるものとして重要である. 本研究課題では,平成17年度に実施した鋼曲げ部材に引き続き,圧縮柱部材を対象に実際に腐食環境下にあった鋼部材の腐食形状計測および耐荷力実験を実施した.また,19.5年間海洋曝露を行った鋼アングル材について,表面形状計測装置を用いて腐食表面形状を精緻に計測し,腐食性状データの蓄積を図った.得られた結果をまとめると以下のようになる. 1.実際に腐食環境下にあった腐食程度の異なる4体の鋼部材について腐食形状を,レーザ変位計を用いた表面形状計測装置を用いて緻密に計測した.フランジ縁端部に観察された波状の腐食や,皿状の腐食を図化し,精度よく捉えることができた. 2.19.5年間海洋曝露を行った鋼アングル材について,表面形状計測装置を用いて腐食表面形状を精緻に計測した.飛沫帯・干満帯・海中部それぞれの腐食性状の特徴および腐食速度の変化を把握した. 3.腐食した鋼部材を圧縮柱部材として耐荷力実験を行い,腐食形態と残存耐荷力および終局モードについて考察を行った.局部腐食位置が終局モードに大きな影響を与えることがわかった.
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