研究課題
基盤研究(C)
北西ヨーロッパを中心に活発に建設が進められている洋上風力発電をわが国にも普及させるためには、わが国固有の厳しい台風や地震、および軟弱な地盤や急峻な海底地形等の自然環境条件に対処していく必要がある。風車を支える支持構造に関しても同様であり、それには十分な剛性と強度、風の力を受けにくい形状、ならびに風や波浪、機械振動等の様々な外乱の変動周期との共振回避、振動軽減や疲労損傷低減が要求される。本研究においては、着底・浮体式支持構造のタワーに供する従来の薄肉鋼製円筒タワーに代わる鋼管製トラス構造を提案し、両者について5MW級の洋上風力発電施設に関する比較試設計を実施しその適用性を確認した。ついで、風洞模型実験により、風荷重や発電量に及ぼす影響を明らかにした。さらに着底式支持構造に対し、杭・地盤相互作用を考慮し動的特性や耐震性能を解析的に検証した。その結果、1)円筒タワー・モノパイルおよび鋼管トラスタワー・ジャケットについて、それぞれ全高が107mと97mの4種類の支持構造に対する試設計や構造解析によって、提案した小径・寡少部材でなるトラスタワーとジャケット海中基礎からなる支持構造は、鋼材重量が1.5倍増えるものの剛性は1.7倍と増加し、その結果固有周期が2.5sと短くでき疲労抑制の点で有利である。2)地盤まで含めた固有値解析から、ブレードがタワーと交差する際に後流域の影響を受けて生じる荷重変動に伴い疲労を発生させる周期(1〜2s)より一次固有周期は短く、またローター回転周期(3〜6s)より長く、両者との同調を避けられる最適な設計が可能であることが判明した。3)模型実験の結果から、トラスタワーは面外の振動加速度や変動荷重が円筒タワーより小さく、発電出力は若干大きい。この結論は着底式、浮体式にかかわらず適用されると考える。4)プッシュオーバー解析によりトラスタワー・ジャケット支持構造は、十分な保有耐力を確保し、変形性能(ダクティリティ)も弾性変形に対し崩壊時の変形が4〜5倍にもなることが検証された。以上の通り、提案するトラスタワーおよびトラスとジャケットを組合せた支持構造は、耐震性、動的性能、空気力特性や発電出力等の点で最適な構造の一つであるとの結論を得た。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
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