研究課題
ある高架道路橋の供用後、約60m以上離れた軽量鉄骨3階建ての家屋住民より振動苦情が寄せられた。この問題を解明するために、橋脚側、地盤上および苦情対象家屋において高密度の振動調査がなされている。この結果、民家への振動影響は、対象とする高架橋を走行する大型車の走行時に発生される固有振動数3.0Hzの低周波振動によるものと判定された。桁の水平方向の曲げ振動の固有振動数が3.0Hzであることから、発生された波動が地盤内を遠距離伝播し、家屋と共振現象を生じていることが明らかとなった。この発生メカニズムをさらに明確に解明するために、対象の高架道路・沿道地盤・家屋を3次元的にモデル化し、数値シュミレーションを行うべく準備中である。また、LNG改質水素製造設備から発生される地盤振動が、6.3Hzで卓越することが既存の測定報告から知られ、このような低周波振動が遠距離伝播されることを確認した。さらに、このような低周波地盤振動の振動伝播経路での遮断対策法として、地中壁による効果検証のための現地実験を行った。この地中壁はコンクリートと発泡スチロールとの合成壁である。この実験地は、深さ8.0mまでのN値が1程度の粘土およびシルト質の有機質土で構成された軟弱地盤である。質量350kgの重錘を高さ1.0mから自由落下させて行った衝撃実験の結果、(1)3.15Hz付近の低周波振動が卓越して伝播することが知られた。(2)この地中壁による振動遮断効果は、3Hz程度の低周波振動数においても3〜6dB程度期待されることが分かった。さらに2酸化炭素の排出から地球温暖化に重要な影響を及ぼしている、廃タイヤを防振壁として振動対策に有効利用する事を考え、現地振動実験から考察している。(1)振動遮断効果は、5〜12dBとかなり大きなものとなった。(2)この防振壁の背後では、6.3〜8Hzの低周波振動でも振動低減効果が見られた。
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