研究概要 |
本研究では、高架道路橋と地盤における練成振動を原因とする地盤振動の遠距離伝播特性を解明するために、模型実験および数値シュミレーション解析から考察を行った。模型実験では、モデルを実物との相似則の関係から実橋梁の1/100スケールの橋長40cmとした。その素材には、四フッ化エチレン樹脂を用いた。また、模型地盤の材料には、珪藻土、豊浦砂、ベントナイト、アクリルアミドを用いた。この模型で起振器により加振した結果、目標値に近い値を示し、実物での現象をほぼ再現できることが確認できた。 さらに、対象の立体高架橋での詳細な振動伝播調査結果を再現するために、2次元FEMモデルによるシュミレーション解析を実施し、民家の振動要因について解析的な検討を行った。設定した地盤モデルを用いて地盤の分散特性を算定した結果、1次モードで5.8Hz,2次モードで13.5Hz付近が、の地盤に伝播しやすい振動数であることが解った。 これらの検討より、高架橋で発生した3Hz付近の低周波の振動が、地盤内で減衰せずに家屋まで到達し、共振現象によって家屋が大きく振動していることが解明された。さらに、このような地盤振動を波動の伝播経路で遮断する対策法についても検討した。すなわち、防振壁の材料として(1)コンクリートとEPS(発泡スチロール)との合成壁、(2)廃タイヤを有効利用した防振壁を考え、現地実験および室内実験を行った。それらの結果より、本研究で対象としている低周波域での地盤振動に対しても、十分な振動遮断効果を期待できることが知られた。今後は、この様な対策法の費用対効果も加味した対策法マニュアルの作成に繋げたいと考えている。
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