| 研究概要 |
複断面河道の高水敷を掘削して作られるわんど内の流れ構造と砂堆積について,わんどの形状と中水敷の底面比高に着目して実験的に検討した.高水敷わんど部では高水敷凹部内で鉛直渦が発生し,高水敷の越流がない場合,鉛直渦はわんど全体に及ぶ1つの渦を形成する.高水敷を越流する流れが発生すると,わんど内にはく離に伴う横断渦が形成され,この渦と鉛直渦によって3次元的な流れ場を形成する.横断渦はわんどの掘り下げ深さの増大によって流下方向スケールが増大し,土砂堆積量および形状を変化させる.わんど形状が台形の場合は,斜め段落ち部において斜め方向の横断渦が発生する.この渦の流れ方向スケールは長方形の場合よりも小さく異なる流れ構造を示す.高水敷の越流がある場合は,横断渦の発生による流れ構造の変化により堆積形状が変化することが明らかとなった.
次に,高水敷,中水敷,低水路を有する複々断面河道の中水敷を掘削して作られるわんど内の流れ構造と浮遊砂輸送および砂堆積にっいて検討した.複々断面構造では活発な横断方向運動量輸送が行われて中水敷及び高水敷が高速化し,中水敷上の浮遊砂を含む土砂輸送量が増大し,わんど内の土砂堆積を促進させる.わんど底面高さが低水路と同じ場合には上流部に平面渦の形成がみられ下流部から流入するが,底面高さを低水路より高くした場合は上流域で流入,中流部から下流域にかけて流出する.また,縦断的に見た場合,段落ちのはく離再付着点位置がわんど底面高さにより変化する.わんど内の土砂堆積部分に植生が繁茂したことを想定した実験では,植生模型ははく離再付着流れの構造を変化させるとともに,低水路からの横流入を妨げることにより,わんど内の土砂堆積量を変化させた.わんど域上流部の植生は,段落ち直後の堆積高さを減少させ,下流に広く堆積させる効果がある.
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