研究概要 |
1.被覆材の堤体断面変形と消波性能の劣化に関する研究では,人為的に与えた堤体断面変化に伴う反射率変化についてCADMAS-SURFを用いた数値波動実験を実施し,消波工被覆斜面堤の被覆材の損傷の増大に伴う消波性能の変化特性として低減するケース,逆に変化しないケースが存在することが確認された.さらに性能劣化に関する指標として反射率以外に被覆層近傍の流速を取り上げ,被災進行に伴って流速あ増加傾向にあることを明らかにしている. 2.被覆材の堤体断面変形と越波低減性能の劣化に関する研究では,時間平均型波浪変形モデルをベースとした数値モデルにより,堤体周辺の水位・流速変動およびエネルギー逸散を求め,これらにもとづいて越波流量の算定を行った.傾斜堤斜面上のエネルギー逸散より,汀線位置までの逸散量は断面変形に関係なく約85%であることがわかり,これにより反射率の変化が少ないことを説明することができた.さらに,越波流量の実験値と計算値はオーダー的に合っている結果が得られた. 3.長周期波に伴う堤体前面の水位を考慮した高波波群に伴う短時間越波流量の確率特性に関する研究では,無限多段ステップ地形を対象とした1次成分波の干渉により発生する2次波が強制力となる長周期波に関する計算モデルの汎用性のための改良を行った.斜面勾配毎の長周期波に伴う堤体前面の水位変動分を考慮した,隣り合う波高間の確率特性の検討を進めると共に,短時間越波流量に関する解析モデルを長周期波による水位上昇を考慮したモデルの検討を実施した. 4.この研究で得られた知見は,平成20年度から採用された「消波被覆工の防災機能の劣化診断と補修の意志決定のための支援システムの開発」の研究(基盤研究(C))における各種性能の劣化過程における不確実性に関する確率論的研究の基礎資料として利用される.
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