研究概要 |
粘土やシルトを高濃度に含有する高濃度土砂流は,有明海湾奥部の感潮域や黄河流域の河川,泥流などで観察されている.土砂濃度の高い流れの動力学特性は,清水流とは大きく異なり,粘性や密度が増大すると同時に,乱れの強さ,土砂の濃度分布,流れの抵抗特性および土砂輸送能力が変質することが予想され,その流動機構については不明な点が多い. 本研究では,高濃度土砂流における非ニュートン流体特性に着目し,黄河下流域の済南市で採取した河床材料と市販の粘土を用いて高濃度土砂流を管路に発生させ,その抵抗特性を検討した. 実験では,黄河土砂とカオリンの何れも土砂濃度の増大に伴って摩擦損失係数は増大し,体積濃度が10%で清水に比べて黄河土砂で1.30倍,カオリンで1.28倍であり,若干黄河土砂の方で大きな値を示す.また,低せん断速度においては高濃度土砂流の粘性係数は清水に較べて102〜103に達することが見出された.高濃度土砂を伴う非ニュートン流体の流れの構造は,実験では高濃度土砂流と類似の粘性特性を有する高分子溶液を用い,流速計にPIV (Particle Image Velocimetry)を適用し,数値計算では直接数値シミュレーション(DNS)を基に検討している. 具体的には、乱泥流の特色を有する高濃度土砂流の実態解明を図るために高濁度流れを室内実験水路に再現し,高濁度且つ高粘性の流動機構,濃度分布特性および抵抗則を明らかにすることを主目的に、以下の項目を検討した. 1 粘土やシルトを高濃度に含有する土砂流体の非ニュートン流体の物理特性 2 高濃度土砂流の抵抗則の解明 3 高粘性流体における各種河床波上の開水路流れの流動機構 4 非ニュートン流体開水路乱流に対する直接数値シミュレーション(DNS)手法の開発
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