本研究は、近隣の播磨地域で産出される良質な石礫や間伐材などを用いた透過型護岸による河川整備を明石市内の小河川に適用することを目的とし、そのための構造設計指針及び維持管理手法の開発を目指すものである。 平成17年度の研究成果は、以下の通りである。 (1)都市小河川の河道特性や水質及び洪水による被災状況等に関する資料収集及び現況調査 明石市周辺を流域とする瀬戸川及び明石川について、河道の断面特性や水理量、既設の護岸の様式と諸元、流域の土地利用、植生や水生生物ならびに災害事例に関する資料を収集するとともに、平成16年23号台風による河川災害について現地調査を行い、都市域小河川における護岸構造物の現況と治水・利水・環境保全上の問題点を明らかにした。 (2)透過性護岸の減勢効果と護岸周辺部の河床変動特性及び護岸の変形・破壊過程に関する模型実験 明石川水系で既に施工されている石礫や木杭を用いた透過性低水護岸を対象とし、その縮尺模型を用いて透過性護岸の減勢効果と護岸周辺の河床変動特性及び護岸自身の変形・破壊過程について実験的に検討した。その結果、流水の作用による護岸材料の変形・流失過程について、護岸様式の違いによる基礎部の局所洗掘特性や裏込め材の抜け出し量の変化、護岸破壊時の限界条件を明らかにした。 (3)明石川水系における水質及び水生生物の生態に関する現地調査 明石川において、生物量調査とPHABSIMによる魚類生息場評価を実施した。中下流域は、勾配が小さく大部分が瀬の単調な河川であり、平水流量が小さく河床は有機質を含む土粒子が堆積している。このため、生息する魚種はオイカワなど水質汚濁に強い耐性を示すものに限られていた。しかし、石積みの水制工直下では淵が創出されており、魚類生息場として価値の高い部分が存在していることが分かった。
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