QFDは製造業の品質管理手法であり、2003年にJISQ9025(マネジメントシステムのパフォーマンス改善-品質機能展開の指針)として日本工業規格に登録されている。QFDはユーザーニーズを最終プロダクトに反映させ、最終プロダクトから品質を管理するものである。QFDは製造業のみならず、サービス業にも適用可能であり、本研究では行政サービスへの適用を行った。これまで行政サービスに関する市民の満足度やニーズ調査は、AHPモデルやCVM手法等によって明らかにされてきた。しかしこれらの方法は行政サービスのメカニズムを分析するプロセスが欠落しており、最終プロダクトのコストや制約が考慮されていない。QDFはこの点を改善したものであり、クオリティ・オブ・ライフの評価指標を構築するためには有用な手法となる。 平成17年度はQFDを用いて市民の要求を行政サービスの品質特性に変換し、サービスの品質やプロセスの要素を系統的に展開した。QFDの特色は統計的品質管理(SQC)と異なり、言語データを主として取り扱うことにある。さらに具体的な行政サービスとして「除雪事業」を選び、市民アンケート調査を実施して行政サービスの満足度、不満度を明らかにし、その改善のためにQFDの導入プロセスを明らかにした。18年度はさらに多くの行政サービスを取り上げて、クオリティ・オブ・ライフの評価指標を構築し、市民ニーズと現実の行政サービスとのギャップを埋める方策を提言する。
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