研究課題
本研究では、特に明治後期、関東大震災後、第2次世界大戦後の3年代の東京都心部における旧版1万分1地形図を対象とする。これらの地形図に幾何補正、シームレス化を施すことにより、GISデータとしてアーカイブ化を行った。さらに、地形図から判読可能な情報のうち、地形が重要な要素であると判断し、アーカイブ化された地形図から標高点、等高線、及び水涯線を抽出し、5mメッシュのデジタル地形モデルを作成した。その際、地形変化が生じていない地域においても、地形図により等高線の描かれ方が異なる場合があることを確認した。以上の通りに地形図と地形データをデジタルアーカイブ化した結果、旧版地形図と現在のGISデータを同一座標系で一元的に管理することが可能となった。整備した旧版地形図のデジタルアーカイブを用い、幾つかの応用を通し、その有効性を確認した。具体的には、以下の通りである。まず、GIS上での重ねあわせや動画像処理技術を用い、より効果的な地形図の時系列比較方法を提案した。そして、整備したデジタル地形データから時系列の標高値ヒストグラムを作成し、全体的な地形の変化について分析した。局所的な地形の変化に関しては、全ての時代において共通の標高点を抽出することにより地形変化の追跡の可能性を提示した。加えて、過去の等高線を現在の地形図や空中写真に重ね合わせることにより、局所的な地形改変の分析例を示した。さらには、旧版地形図はその色数の少なさのために判読性が限られていたが、簡便な画像処理を施すことにより、その表現力を向上させた。ここでは、作成したデジタル地形モデルも用いることが可能であり、3次元視覚化による新たな地図表現法も提案した。最後に作成したデジタルアーカイブを資料として、実際のフィールド調査を行うことにより、従来とは異なる分析例を示し、デジタルアーカイブの有用性を確認した。
すべて 2005
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日本写真測量学会平成17年度秋季学術講演会発表論文集
ページ: 149-152
土木学会第60回年次学術講演会講演概要集,第IV部門
ページ: 437-438
地調協30年の歩み
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