研究概要 |
本研究では,物流活動に係わるステークスホルダーの意志決定と同様のプロセスで,貨物生産量,消費量,購入先,貨物車サイズ,流動ロットサイズ,輸送頻度,自家用/営業貨物車選択,輸送ルート等の輸送形態を決定する非集計ベースのモデルを構築した.モデル化の際には在庫理論等の経済合理性に基づくモデル化を行い,各ステークスホルダーの利潤最大化行動を再現した.また,マイクロシミュレーションの技法を用い,前述の非集計モデルを東京都市圏の全事業所を対象に適用し,貨物の動き,並びに貨物車の動きを再現性の確認を行った. 特に今年度は,車種別OD交通量推定モデルと,バイパス・環状道路整備やロードプライシングを含む環境税の導入が,道路交通や環境へ及ぼす影響を評価するための手法を検討した.車種別OD交通量推定モデルでは,都市内物流で特徴的な巡回型輸送や,空車トリップ,ロットサイズ等の貨物輸送特性を明示的に表現することにより,貨物ODから,貨物車の車種別OD交通量推定するモデルを構築した.具体的な施策評価では,東京外環自動車道の未開通部分の開通により,平均走行速度が約10%上昇し,貨物車の総走行台キロが0.8%減少し,二酸化炭素排出量が0.7%減少することが判った.また,環境税の付加による燃料費の上昇においては,小型貨物車から大型貨物車への転換が進み,大型貨物車の総走行台キロは増加するが,全体での二酸化炭素の排出量は約8%減少することが判明した.
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