研究概要 |
1.路線別特性評価に基づくバス路線網再編手法 バス輸送の持つ平均生産性構造と実績費用とを比較することによる当該路線の生産効率性,および路線沿線の潜在需要と実際に獲得した乗車人員との比較による潜在需要の顕在化可能性という2つの視点から,バス路線別の特性評価を行なう方法を提案した.さらに,この特性評価法による路線の分類,および分類された路線を改善する合理的でシステマティックな路線再編方策を示した.熊本都市圏を対象として,汎用交通需要パッケージJICA STRADAを利用し,この路線分類別改善方策に基づくバス路線網の再編を試みた.さらに,再編バス路線網に対して交通需要予測を行なった後路線別,および路線網全体の乗車人員や営業係数などについて効果分析を行い,本手法の実用可能性と有用性を検証した. 2.路線別バス事業経営評価手法の開発 地域の生活交通確保のために必要な路線に対して,路線毎に投入されることになった補助金は,従来,路線を評価する指標として営業係数や輸送密度が用いられてきた.しかし,これらの指標による評価には営業費用を最小にする投入や産出がなされているかという企業努力は不問とされていた.そこで,生産性と集客性で構成される「企業努力面」と,公共性と収支性で構成される「経営・環境面」とにより路線を分類し,さらに運行サービス水準等の路線の特性による主成分分析を行い,路線改善策を抽出する方法の提案を行なった.この方法により,公的補助投入対象路線を効率的に絞り込むことが出来るとともに,補助対象外の路線を維持するための具体的な改善策を示すことが出来た. 3.地方小都市における公共交通の利用実態調査 人口が3万人程度の地方都市において,独自に簡易型パーソントリップ調査を実施し,バス輸送需要とバス路線との比較分析を行った.ODだけでなく時間帯まで考慮することで,バス利用者の細かいニーズに対応することが求められる地方都市の公共交通サービスの設計への展開が可能となることを検証した.また,観光地とのアクセスと生活交通の維持についての調査・考察も行った.
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