本研究は、昭和63年に線引きを廃止した宮崎県都城市を対象に、総ての開発、種々の土地利用規制を総合化したGISデータベースを構築し、開発動向と規制との関係を分析して現状の問題点と課題を整理し、その上で総合的土地利用マネージメントのあり方に関し提言を行なうことを目的とするものである。なお都城市は、線引きが廃止され既に20年近くが経過した都市であり、長期的観点から線引き廃止の効果・影響を調査・分析できる格好の事例といえる。 本年度は、1)開発件数総数、用途地域別件数、都市計画白地内件数の推移、2)開発集中地区の特定と地区特性の分析、3)用途地域内および中心市街地での開発動向分析、4)都市計画白地内の開発動向および農振解除の実態分析、4)都市計画白地でのダウンゾーニングの効果の分析、を行なうことが目的であった。分析対象期間は平成12〜16年の5年間である。 これらのうち、1)〜3)までのGISデータベース作成を完了した。ただし、3)、4)の分析についてはデータベース作成に多大な時間を要したため実施できなかった。なお、分析手段の妥当性を検討するため関連研究として、宮崎広域都市計画区域縁辺部の開発動向に関するデータベース作成と開発動向の分析を行ない(研究成果参照)、都市計画区域外、白地での開発の問題、調整区域での開発許可の問題等を明らかにできている。また、4)に関連しても宮崎市における開発事例に対し制度的側面からの分析を行なって制度上の課題を整理し(研究成果参照)、本研究を実施する基盤を整えたところである。このため、3)、4)の分析については平成18年春に行なう予定である。
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