研究概要 |
本研究では昭和63年に線引きを廃止した宮崎県都城市を対象にして、開発や種々の土地利用規制データに関連する数値地理情報システムを作成するとともに、平成16年までの開発動向、浸水被害、都市計画白地地域の生活環墳問題や白地地域住民の意識を分析した。その結果、 1)平成12年〜平成16年において、都市計画区域内の総開発件数は減少傾向にある。都市計画白地地域の開発件数は用途地域のそれの約7割程度の水準で推移したが、平成14年〜平成16年にかけて増加傾向にある。 2)住居系と商業系開発は用途地域の外縁部や幹線道路沿線に多い。また、都城市では線引き廃止時に都市計画法第L2条の対象面積を1,000m^2にしたが、その適用件数は14%と低い。また平成16年の白地地域における容積率200%へのダウンゾーニングの開発抑制効果は確認できなかった。 3)白地地域で平成17年に浸水被害が発生し、防災上の問題が生じている。 4)都城市のような都市規模の地方都市での線引き廃止は土地利用計画上の問題が極めて大きいことが確認された。また、地方都市における総合的な土地利用計画・規制のあり方に関する以下の知見が得られた。 5)行政は都市計画マスタープランの一層の充実と郊外化の負の影響を十分に評価し、都市・農政の開発手続きを一本化することが重要である。 6)市民・住民に白地の意味や浸水被害リスクの情報を十分に周知させるとともに、安全で秩序ある土地利用へ規制・誘導できるようにシステムを整備する必要がある。
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