研究課題
蛇口水中の原虫が原因となって発生した水系感染症が契機となって、浄水処理の高効率化が緊急に解決すべき課題となっている。特に寒冷地水道では、長期間継続する水温低下時の粘性上昇に起因する凝集、沈澱、ろ過の処理効率低下の問題については、それを避けることが出来ず、いかにしてその低下抑制を図るかは非常に重大な課題である。1.浄水処理システムの初段に設けられる急速混和槽内の凝集・微フロック形成現象の把握と高効率化とを目指し、沈澱・ろ過による処理効率が低い径1〜3μmの粒子数を指標に、回分式の動的凝集実験を行った。その結果、凝集・微フロック形成プロセスは、急速撹拌強度及び凝集剤注入率によって大きく変動すること、そのプロセスは、集塊化準備期→集塊化進行期→安定期を経て、小さな粒子が次第に大きな粒子へと成長し、それに伴って個数濃度を減少させて行くことを明らかにした。2.水温2〜20℃の範囲で、カオリン粒子懸濁試料水を凝集剤PAC、塩化第二鉄、PSIで集塊化させるプロセスを前記の粒子数の動きで測定したところ、水温低下とともに、凝集剤が化学的に析出してカオリン粒子規模に成長するまでの集塊化準備期間が長くなること、及び安定期に残留する未凝集ないし未集塊化粒子の数が増加することが原因となって、粒子の沈澱効率などが低下することが分かった。3.低水温時の沈澱処理効果の改善を目的に、凝集助剤としてノニオン系ポリマーの使用方法を回分式の凝集沈澱実験で調べた。その結果、PACなどの主凝集剤の注入後の一段目の急速撹拌で凝集・微フロック形成を行った後にポリマーを注入して二段目の急速撹拌を行うという二段直列型の急速撹拌法の導入が有効(凝集剤注入率が低いもとで処理性が向上)であること、及び必要となる撹拌強度、撹拌時間などの運転条件を明らかにした。
すべて 2006 2005
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Water Research Vol.40,No.2
ページ: 683-691
世界濾過工学会日本会・濾過分離シンポジウム2005論文集
ページ: 158-162