研究課題
基盤研究(C)
多孔性隔壁で陽・陰極室に分割したラボスケールの可溶化処理槽を作製し、超音波照射/電解同時併用汚泥可溶化処理実験を実施して以下の知見を得た。1.超音波照射単独の処理に比べ、電気分解に伴うアルカリ性環境の形成が主として関与し、陰極室での併用処理による可溶化速度は大幅に向上した。また、比エネルギー消費及び初期可溶化速度を指標とすると、併用処理の前に予めpHをアルカリ性に調整するとさらに効率のよい処理も可能であることが示された。2.平均超音波密度と電流値の増大に伴い可溶化速度は増大するが、それらの条件の組み合わせにより、比エネルギー消費を超音波単独処理の半分程度まで低減させる操作が可能性であることが見出された。また、約40g/Lまでの範囲で初期汚泥濃度の増大に伴い、比エネルギー消費は低減した。対象排水や処理方式等が異なる種々の施設から採取した汚泥に対する同一の操作条件での可溶化速度はほぼ同様で、その影響がほとんどなかった。3.併用処理汚泥では、溶解性窒素/全窒素比や溶解性りん/全りん比がCOD基準の可溶化率とほぼ等しく、タンパク質と炭水化物が溶解性COD成分の約6割を占めた。溶解性窒素成分のうち、概ね6〜7割が有機態であり、硝酸性とアンモニア性が残りをほぼ二分する性状であることがわかった。4.嫌気性消化でのメタン生成を指標とした場合、併用可溶化処理汚泥では、実験初期におけるメタン生成速度が顕著に上昇した。なお、可溶化汚泥中の溶解性CODのメタン転換率は可溶化率によらずほぼ一定であった。一方、好気的分解性に基づいた溶解性CODに占める易分解性成分割合は、超音波単独処理に比べ、同等かやや大きくなる傾向が認められた。5.併用可溶化処理では、陰極室で生成した硝酸性窒素やりん酸イオンの陽極室への移動が確認され、可溶化に併せた有用成分の濃縮や分離への応用可能性が見出された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Water Science and Technology Vol. 53, No. 6
ページ: 37-42
環境工学研究論文集 Vol. 43
ページ: 419-427
Water Science and Technology Vol.53, No.6
Environmental Engineering Research Vol.43