研究課題
本研究は、平成17-18年度の2ヵ年で以下の5点について実施する計画である。(1)DNAPLの土壌空隙内拘束、残存を支配するパラメータの特性把握(役割分担:佐藤、小松、伊藤、佐々木)(2)飽和帯における汚染源付近のDNAPL移行解析モデルの高精度化(役割分担:佐藤、佐々木)(3)地層の汚染残留特性の把握と支配パラメータの同定(役割分担:佐藤、伊藤、今村)(4)不飽和帯・飽和帯DNAPL移行モデルの統合による数理ツールの開発(5)汚染地層の残留特性をパラメータとしたDNAPL移行モデルの現地適用性検討本年度(〜平成18年3月31日)は、上記の5つの課題から、(1)〜(3)を実施した。(1)においては、DNAPLの輸送特性を把握するための第一段階として、水中懸濁粒子やコロイドなど不溶性物質の輸送特性の検討を行った。立川ロームを用いてバッチ実験により土壌コロイドの生成と安定性を調べた結果、EC(電気伝導度)が低いほど、またpHが高いほどコロイド生成は増加し、pH6.5以上でコロイドの安定牲が高くなること等がわかった。また、カラム実験によりコロイド粒子の流出特性を調べた。人工降雨によるコロイド流出は、初期には時間とともに直線的に増加するが、一定時間後には時間の平方根に比例して増加することから、流出がコロイド生成の拡散律速であることが示された。コロイドを土壌に供給した場合、その約50%が土壌内に補足されること、コロイドとトレーサー(臭素イオン)のトランスポートパラメタを比較するとコロイドの流速はトレーサーに比べ、3~4倍大きいこと等が明らかとなった。(2)は、IP(Invasion Percolation)理論にもとづくフィンガリングモデルと、DNAPL原液液滴のランダムウォークモデルとを比較検討し、パラメータκの特性把握に基づき、DNAPL移行解析モデルの高精度化を行った。重力場を考慮したIP理論にもとづくフィンガリングモデルのパターンをもとにパラメータκの値を決め、原液液滴のランダムウォークと比較した結果、液滴ランダムウォークによる鉛直密度分布が、IP理論にもとづくフィンガリングの鉛直分布とほぼ同様の結果となることを確認し、構築したモデルの核となる部分の検証を行った。(3)については、地球化学モデリングソフトウェアPHREEQCIを試用して、地下水中のヒ素濃度と鉄の水酸化物の飽和度との関連を解析した。この手法をもとに、地下水中の汚染物質の吸脱着過程に土壌中の鉱物の飽和度がどのような影響を与えるかの定量的把握が可能となる。来年度は、5つの課題のうち、(3)〜(5)を実施する予定である。なお、本研究では、研究協力者として、伊藤一正((株)建設技術研究所・国土文化研究所)、今村聰((株)大成建設・技術センター)、佐々木孝((株)アーク情報システム・先端技術センター)の3名がプロジェクトに参加している。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
地下水技術 第48巻・第2号
ページ: 27-32
Vadose Zone Journal No.2(in press)
第19回数値流体力学シンポジウム
ページ: C4-1
Proceedings of the Seventh International Summer Symposium, Japan Society of Civil Engineers
ページ: 161-164
Proceedings of 31th IAHR Congress, Seoul, Korea, Vol."Theme C"
ページ: 2284-2293