研究課題
本研究は以下の5点をサブテーマとして実施した。(1)DNAPLの土壌空隙内拘束、残存を支配するパラメータの特性把握、(2)飽和帯における汚染源付近のDNAPL移行解析モデルの高精度化、(3)地層の汚染残留特性の把握と支配パラメータの同定、(4)不飽和帯・飽和帯DNAPL移行モデルの統合による数理ツールの開発、(5)汚染地層の残留特性をパラメータとしたDNAPL移行モデルの現地適用性検討。(1)では、DNAPLの土壌中残存のパラメータ(空隙内拘束係数)が、マクロ的なキャピラリー数とボンド数と関連づけられることを示した。土壌内における汚染物質の移動予測、浄化・修復に関わるパラメータとして、以下の成果が得られた。汚染物質の輸送を促進する土壌コロイド粒子の流出は付着水内のコロイド拡散が律速となる。コロイドを土壌に供給すると、その約50%が土壌内に補足される。コロイドの流速はトレーサー(臭素イオン)に比べ3〜4倍大きく、農薬のコロイドへの吸着は土壌に比べ3x10^3倍と極めて大きい。土壌内の気体移動に関しては、気相率、間隙径分布などの土壌構造を考慮した新しいパラメータ予測モデルを提案した。これにより土壌特性からパラメータが簡便に得られ、汚染物質(気体)の土壌内挙動予測が可能となった。(2)では、IP(Invasion Percolation)理論にもとづくフィンガリングモデルと、本研究のモデルとを比較検討し、パラメータλの特性把握に基づき移行解析モデルの高精度化を行った。(3)では、不均質汚染地盤を想定したカラム実験により、流速が大きい場合でも溶出速度が小さくなることが確認された。(4)は、空隙、実験室、現地スケールのそれぞれについて、DLA(Diffusion Limited Aggregation)、IPに代表される確率的モデルと、移流分散式の差分式による数値手法の特徴を整理し、差分スキームの安定性、解の格子依存性、物質収支の格子依存について明らかにした。(5)においては、構築したモデルの現地適用性の検討を実施するとともに、健全な地下水資源を保全・利用する観点から、地下水資源マネージメントの枠組みを定め、汚染現地を含む局所的な地下水理モデルから、広域地下水盆水理モデルによる地下水流動解析にいたる数理的手法とその運用に関わる諸課題を明らかにした。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (13件)
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