研究概要 |
人工排水を用いた嫌気無酸素好気生物ろ過装置による室内実験の結果を取りまとめるとともに,平成17年度に金沢市A水質管理センター内に設置した旋回流式嫌気好気生物ろ過装置の運転を継続し,定期的な水質分析を行った。室内実験により,無酸素槽内に生成した硫黄粒が処理に重要な役割を果たすことが示された。また,好気槽に硫化物が持ち込まれると硝化が抑制されることから,循環率が重要であることが明らかとなった。処理槽内に装置は内径600mm,高さ1800mmのアクリル樹脂製の円筒カラムからなり,可動式のパンチングプレートで3層に仕切りそれぞれ形状の異なる炭素繊維担体を充填した。排水は下層部から定量ポンプによって流入し,下層部および中層部は曝気を行わない嫌気条件とした。上層部には散気装置によってエアレーションを行うとともに,微細気泡を循環によって供給し装置内に上向きの旋回流を形成する構造とした。定期的な水質分析の結果,滞留時間10時間程度で,活性汚泥処理と同程度の有機物除去率が得られ,SSの流出はほとんど認められなかった。各槽の水質分析を行った結果,下層部の嫌気槽で硫酸塩還元に伴う有機物の分解が,中層部で上層部からの返流水中の硝酸塩の硫黄脱窒による除去が,上層部の好気槽で硝化が進行することが確認できた。消化率は80%程度を達成できた。途中,マイクロバブル供給装置のトラブルと水温の低下によって,硝化が抑制されたが,3月より装置の改善によって,硝化が進行し,脱窒率が向上した。槽内に充填した担体表面には良好な生物膜が形成されていることが確認できた。
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