研究課題
基盤研究(C)
天然資源の価値は、以降将来的にリサイクルを繰り返して得られる各時点の収益を全て内包するが、一般には短期的な使用価値で計られる。対して、リサイクル資源は生産要素原価の積み上げによって価格形成されるため、比較して過少評価に陥りやすい。一般にこの事実は、リサイクルが進まない大きな要因として取り上げられ、資源配分上の非効率をもたらす。循環型社会を目指す我が国の一連の国内諸施策はこの打破を狙うものであるが、リサイクルは本来社会における関連する技術あるいは制度に照らし、その頻度を適正に見積もる必要がある。理念先行型であり、数量規制に準ずる同施策らは、必ずしも社会を資源循環の適正な水準へと導いてないのではないだろうか。本研究は基本的にこれを検証するものである。そこで本研究では先ず、紙資源のカスケードリサイクルを対象にモデルシステムの構築を図る。この時、価格と生産技術が固定的に与えられた場合、各古紙から紙製品への品種配分率を操作すると、1割強の資源生産性や紙製品生産量の増加が見込めることが判明した。この操作は現状からいらない古紙を無理に使わず捨てるだけものである。さらに対象地域を愛知県に限定し、より詳細な収集運搬輸送推計モデルを構築し、リサイクルパス時での必要資源・エネルギー・費用の計上を行った。本シミュレーションは、価格と生産技術が固定的に与えられた場合、各古紙及びバージンパルプから紙製品への投入品種配分率を操作できると仮定して、潜在的な再資源化量を推計するものであるが、最大時には1.14倍程度増加することが可能との結果を得た。この結果は紙資源の異種間にも存在するが、大きくは施策の数量的な恣意性が影響している可能性がうかがわれる。さらに月毎20年分の時系列統計データから生産関数分析を図り、紙製品へのバージンパルプや古紙パルプの交差価格弾力性、限界生産性価値-価格比、並びに限界代替率等を定量化し、それらの動向と市場価格の推移を比較した。検証結果としては、実生産性と市場価格、資源世代間の適切な価格差などにはやはり幾つかの歪みが見受けられる。ここでは、バージンパルプには単一使用の限界生産性評価が支配的であり、古紙に関しては施策の恣意性のため、生産企業の合理的な投入量決定が遂行されていないことなどが知見として得られている。
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すべて 雑誌論文 (8件)
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