研究概要 |
細井は,中山間地域における小規模な水道事業の維持管理を効率化することを検討した.分散して存在する無人の水道施設を効率よく巡回点検し安全性を確保する方法を遺伝的アルゴリズムを用いて開発した.また人口減少が予想される地域の下水道整備について財政シミュレーションを行って検討した. 増田は人口密度が低い地域の廃棄物の収集運搬方法を分別数に着目して検討し,分別数を増やすことが必ずしも環境面で寄与するものではないことを示した.また人口密度の低い流域における汚水処理システムのあり方について広範囲に検討を行った. 喜多は,小規模自治体における公共交通の利用実態を,簡易な機器設置を設置するのみで人手をかけることなく調査するための方法論を開発した.また厳しい財政状況の下で行政サービスを提供しなければならない小規模自治体を念頭に置き,住民が最小の負担で最大のサービスを享受しうる施策を効果的に選択するしくみを検討した. 小池は地方公共事業の事業効率性を評価する方法としてDEA(Data Envelopment Analysis)を用いるための方法論を考察した.特に,地方公共事業の評価のため,経営効率的な評価に加え,公共的評価など多次元の評価尺度を設定して分析可能な評価フレームの開発を行った.また,実証分析として上下水道事業を例に具体的な評価方法をマニュアル化した. 谷本は,環境管理施設の健全な機能を維持するための更新方法について検討した.その際,異なった主体がそれぞれ所有するいくつかの施設をまとめて同時に更新することで,各主体の維持管理の費用を削減できる可能性がある.しかし,個々の主体が選好する更新のタイミングが一致する保証はない.そこで動的協力ゲーム理論を援用して,複数の施設をまとめて同時に更新することで節減できる費用を主体に適切に配分するとともに,効率的に総期待割引費用を削減するためのメカニズムを構築した.
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