研究概要 |
人口密度が低く,人口減少と高齢化に直面しかつ,財政状況の厳しい小規模地方公共団体が全国に存在している.本研究では,このような自治体における今後の環境施設の管理,運営や,自然環境を保全していく上での,方策を検討した. このような自治体では水道などの施設が,大都市のような大規模ネットワークで構成されているのではなく,小さな施設が広く分散している場合が多い.これを少ない人員で効率的に維持管理する手法を提案した.また汚水処理システムにおいても,地場産業の育成の面からいかなる方法をとるのがよいか,単に環境面だけではなく,地場産業を中心とする地域経済モデルを構築し,汚水処理に対する支援が地場産業を通して地域へ波及する効果も含めて検討する方法を提案した.廃棄物の収集においても,人口密度が少ないことから,分別数をいたずらに増やすのではなく,適切な分別で,経済,環境面から有利となる方法を検討した. 人口が少なく過疎化が進む地域の生活環境を考える上で,公共交通は欠かすことができない.過疎地域のサービス整備に関しては,利用者のニーズを調査して対応を考えるという需要追随型の方法が中心であったと思われるが,生活の質を重視するならば,このような方法が必ずしも適切ではなく,切り下げられたニーズに配慮した活動期買い保障型の計画が必要であるとの見地から,公共交通を例に検討を行った.小規模地域の自治体経営においては,財政規模が小さく,一つの施策の選択が他の施策の重に影響を及ぼす.さらに地域を通して様々な影響を引き起こす.このような観点からの分析も必要であるとの観点から,応用一般均衡モデルの利用を考え,種々の事例に適用することで,その可能性を検討した.
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