1.評価試験装置を用いた護岸材の相対評価 平成18年度までに終了できなかった流速100cm/secにおける評価を実施した。また、ブロック上下方向にスリット状に開口したブロックおよび、自然河岸を模した沈水植物、オーバーハング模型を加えた。高流速ではパネルの穴が小さい方が選好されること、スリットが下流側に存在するブロックが選好されないこと、自然河岸要素ではヨシが選好されることが明らかになった。 2.護岸材周辺に特有の環境因子の解析 評価試験装置内に種々の環境要素の分布を形成し、魚の分布を計測することで、環境選好性を評価した。 3.構造物周辺の流況および気泡の分布を計算できる流況シミュレーションモデルの作成 平成18年度までの研究成果を用い、護岸ブロック前面とその内部の流況を計算した。 4.総括 100cm/secまでの実験結果と環境因子の選好強度式を用い、魚の分布の説明を試みたところ、流速50cm/secを超えると流速の条件でほとんどの魚の分布が説明できることが判明した。流速50cm/sec未満では、その他の条件を加えることで分布が説明できる魚種とできない魚種が存在した。また、流況シミュレーションにより1m/secから5m/secの流速下でのブロックに対する選好性を評価した。その結果、スリット型が下流側に存在するブロックの選好値が極端に低くなった。 以上より、低流速時の生活の場としてのブロックの評価には課題は残したものの、高流速時の魚類保全効果について定量的に評価することが可能となった。
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