バチルス菌優占で運転しているし尿処理施設の乾燥汚泥と、急速ろ過の浄水汚泥及びキノコ工場廃菌床を、実験室レベルで生ゴミ処理機を使用して中温で混合醗酵すると、当初は廃菌床に由来するカビや各種のバクテリアコロニーが発生するが、2週間以上の培養(32℃、平板寒天培地)では、必ずバチルス菌が優占化することを確認した。この理由としては、バチルス菌が休眠時の芽胞形成に必要なシリカ分を浄水汚泥のシルトから供給できること、バチルス菌(枯草菌)のエサとなるセルロースが廃菌床から供給できることが考えられる。 バチルス菌が、土壌中に10E-8程度いると、土壌細菌の優占種となるので微生物生態系が安定し、連作障害が解消できる可能性があるといわれているが、10E-8/gのレベルまでバチルス菌が成育することが確認できた。 次に土壌中に投入した場合、浄水汚泥のアルミニウムが土壌中のリンと結合し、リン飢餓が発生する危険性については、醗酵物の溶出試験を実施したところ、水溶性リンまたはク溶性リンが高い濃度で検出されるので、し尿汚泥と廃菌床に含まれるリンがアルミと結合しても、余剰のリンが残存することが確認され、リン飢餓の問題は回避できることが確認できた。 実規模の設備を用いた発酵試験では、温度管理をしっかりやれば(冷えすぎない)生ゴミ処理機と同等の成果が得られることが確認された。
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