研究概要 |
平成17年度研究実績の概要 1.目的 都市において「自然の水循環」と「人工的な水循環」のバランスがくずれて河川水量や水質,湧水の枯渇などの種々の問題が生じており,地下水を含めた水循環の健全化が益々高まっている.本研究は,和歌山県に豊富にあり再利用のニーズの高い稲わら,もみがら,木くずのバイオマスを利用して,水質改善と地下水保全の方法を確立しようとするものである. 2.実験装置および方法 実験装置は,透明塩ビ製カラムで,内径80mm,高さ1500mmである.充填層の高さは900mmで,(1)標準砂のみ(コントロール),(2)標準砂+稲わら,(3)標準砂+もみがら,(4)標準砂+木くずの充填条件で実験を行った.流入水は和歌山高専排水処理施設の放流水を使用した.測定項目は,pH,TOC,NO_3-N,NO_2-N,NH_4-N,PO_4-P,DO,SS,透水係数である.浸透は変水位ろ過方式で行った. 3.結果と考察 バイオマス充填カラムでは,生物学的硝化・脱窒反応が進行し,砂充填カラムのT-N除去率が10.3%であるのに対して,稲わらカラム:46.4%,もみがらカラム:33.1%,木くずカラム:32.4%であり,窒素除去の点では,バイオマス添加は大いに効果があることが明らかになった.また,バイオマスの充填効果は,PO_4-Pの除去でも見られ,砂充填カラムのPO_4-P除去率が17.5%であるのに対して,稲わらカラム:51.0%,木くずカラム:28.1%と高い除去率が得られた.PO_4-Pの除去においても,バイオマスを添加することによる効果が確認された. 4.今後の課題 今後は,バイオマス添加による生物学的硝化・脱窒活性の増加や脱リン反応のメカニズムについて検討するとともに,地下水涵養時に大きな問題となる生物学目づまりについても検討を行い,地下水人工涵養システムの設計条件などを明らかにする必要がある.
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