研究概要 |
1. 目的 平成17年度及び19年度の研究では、地下水涵養における窒素やリン除去に及ぼすバイオマス添加の影響に関して実験した結果、窒素・リンの除去効果が最も高いバイオマスは稲わらであった。また,地下水涵養過程における窒素・リン除去効果は,浸透速度(滞留時間)に大きく依存することから,窒素・リンの除去率と浸透速度に関係を実験的に明らかにした. 平成20年度では、窒素・リン濃度の異なる水を涵養した際に,流入濃度が硝化・脱窒反応やリン除去効率に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする. 2. 成果の概要 河川水から下水処理水までの地下水涵養を想定して,流入T-N濃度が3〜14mg/l,流入PO4-P濃度が0.6〜3mg/lの4段階の濃度条件で浸透実験を行った(浸透速度:0.2m/日).実験の結果,流入T-Nが増加するとともに,T-N除去率も67%〜91%と増加した.PO4-Pの除去についても,流入濃度の増加とともに,PO4-Pの除去率は21%〜72%で増加した. 窒素除去では,流入水の窒素の大部分がNO3-Nの形態で存在することから,脱窒反応の濃度依存性は流入濃度の上昇とともに,脱窒速度も上昇することが明らかになった. また,PO4-Pの除去は稲わらから溶出したCa,Fe,Al等の成分と反応して沈殿・固定化作用により除去されると考えられるが,PO4-Pの除去速度も流入PO4-P濃度の増加とともに増加することが実験的に明らかになった.
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