研究課題
建築工事における高強度コンクリートの調合設計では、コンクリートの調合強度は調合を定めるための基準とする材齢m日における標準養生した供試体の圧縮強度で表すものとし、構造体コンクリートが所定の材齢において設計基準強度を満足するように、設計基準強度Fcに、標準養生供試体の材齢m日の圧縮強度と構造体コンクリート強度(高強度コンクリートの場合は一般に91日以内の材齢n日のコア強度で定義される)との差mSnを加えた値としている。ここで、標準養生した供試体の圧縮強度はいわゆるポテンシャル強度であり、構造体コンクリート強度はポテンシャル強度より高くなることはなく、その強度より高い設計基準強度を用いることはできないという考えから、mSnは負の値をとることができないとされている。高強度コンクリートは、セメント量が多く、構造体コンクリートは水和熱の影響で初期材齢に高温となる。初期材齢に高温履歴を受けたコンクリートは、初期強度発現は大きいが、長期材齢において強度発現が停滞し、標準養生した場合の強度発現に追い越される。しかし、設計基準強度が120N/mm2を超える高強度コンクリートの場合、初期材齢に高温履歴を受けた構造体コンクリートの強度発現は著しく大きく、材齢91日においても標準養生した供試体の圧縮強度が追いつかないという状況があることが分かってきた。そこで、平成17年度には、低熱ポルトランドセメントおよびシリカフュームを結合材とし、水結合材比が20%以下の高強度コンクリートを作り、最高温度を60℃および40℃とし、持続時間を変化させて強度発現を実験した。その結果、最高温度が60℃で、持続時間が10時間を超えると構造体コンクリートの強度は、標準養生した供試体の材齢91日の圧縮強度より高い強度を維持していることが明らかとなった。
すべて 2006 2005
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日本建築学会構造系論文集 No.601
ページ: 15-22
コンクリート工学年次論文集 Vol.27, No.1
ページ: 1075-1080