研究課題
平成18年度研究実施計画に基づいて、従前のスパン中央に方立て壁を連層して配した2層1スパン門形フレーム試験体の両側の柱外側に梁を延長した試験体4体を作製し、静的載荷試験および振動台試験を実施した。柱の外側に延長した梁をピンローラー支持することで、柱の梁に対する曲げ余裕度を昨年度実施した試験体よりさらに低下させ、より層崩壊の生じやすい条件を設定し、実際に方立て壁のせん断破壊が層崩壊を誘発する場合があるかどうかを検証した。試験体のパラメータは昨年度同様、方立て壁のアスペクト比(30/12および30/15の2体)である。また、柱の梁に対する曲げ余裕度は1.1程度である。結果として、アスペクト比が30/15の比較的幅広の方立て壁を有する試験体の静的試験において、先行した2層方立て壁のせん断破壊により2層において層崩壊が生じたことを確認した。また、せん断破壊する方立て壁の挙動を加工軟化材料と捉え、塑性論に基づいて定式化し、せん断破壊が先行する連層方立て壁を有する6層RC骨組の地震時の崩壊性状を、静的弾塑性解析により検証した。解析パラメータは、実験と同様に方立て壁のアスペクト比および柱の梁に対する曲げ余裕度である。解析により、柱の曲げ余裕度が3程度の架構であっても、方立て壁のせん断破壊は低層部の2から3層に留まり、方立て壁の存在により崩壊形が梁崩壊型から低層部の複数層の部分崩壊形に移行すること、また、方立て壁がせん断破壊した層の塑性率が著しくなることを示した。結果を総合して、方立て壁のせん断破壊は柱梁と同様にやはり忌むべきものであり、方立て壁を耐震要素として積極的に使う場合には曲げ破壊型とすべきであることを明らかにした。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
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