研究概要 |
1.鉄筋コンクリート壁の収縮ひび割れの幅と間隔の実用算定式の誘導 鉄筋コンクリート(RC)壁の乾燥収縮による収縮ひび割れ幅の付着解析による算定法及び等価喪失長さを用いた略算法を既に提案している。これらの算定法は略算法でも収束計算を行わなければならない煩雑さがあり,より簡単な算定法が求められる。そこで、付着解析によって鉄筋比,鉄筋径,コンクリート強度,壁長さ,拘束率,乾燥収縮量及びクリープ係数のひび割れ幅などへの影響を調べ,簡単なひび割れ幅やひび割れ間隔の算定式を提案した。 2.収縮ひび割れに及ぼす鉄筋比の影響に関する拘束ひび割れ試験 鉄筋D10を2本から5本埋設した試験体長2000mm,幅350mm,厚さ100mmの試験体(鉄筋比0.41〜1.02%)の拘束ひび割れ試験を行い,鉄筋比の収縮ひび割れへの影響を調べるとともに先に提案したひび割れ予測法による予測値と実験値との比較検討を行った。その結果,実験値と予測値にはひび割れ発生時期,ひび割れ本数及びひび割れ幅等のひび割れ性状について良好な対応が得られた。すなわち、びび割れは材齢30日(乾燥日数23日)から68日にかけて,鉄筋比が最小(0.41%)の試験体で1本,最大(1.02%)の試験体で3本発生し、解析結果とほぼ一致している。また、材齢68日におけるひび割れ幅は、鉄筋比0.41の試験体で0.40mm、0.6%で0.19mm,0.8%で0.18mm,1.02%で0.12mmと鉄筋比に応じてひび割れ幅は制御され、付着解析は大略実測値の傾向を捉えている。
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