研究概要 |
通常のコンクリートを用いる限りの鉄筋コンクリート(以下RCと略記する)部材における乾燥収縮によるひび割れの発生を防ぐことは困難であり、RC壁のひび割れ対策としては誘発目地による集中、または鉄筋による分散が図られている。また,コンクリートの乾燥収縮そのものを縮減する取り組みも行われている。しかし,適切な誘発目地間隔の計算や、鉄筋のひび割れ制御効果の定量的な予測、収縮低減の効果の定量的な評価が行えるまでには到っていない。その理由は、壁の収縮ひび割れの幅や本数を予測できないことにある。 本研究では鉄筋コンクリート部材において乾燥収縮の拘束によって生じるひび割れの幅と本数の予測法として、付着解析を用いた収束計算法を提案し、平成17-18年度は2つの実験を実施し、その適合性を確認した。 次にこの計算法を用いて、鉄筋比、鉄筋の径、コンクリート強度、乾燥収縮量などの要因のひび割れ幅と本数に及ぼす影響を調べ、その影響度合いを定式化して、簡単で実用的なひび割れ幅と本数の算定式を誘導した。 この式によって、鉄筋比や乾燥収縮量のひび割れ挙動に及ぼす影響の定量的な評価が可能となり、コンクリートの乾燥収縮低減によるひび割れ幅制御、鉄筋を用いたひび割れ分散によるひび割れ制御、および誘発目地を用いたひび割れ集中によるひび割れ制御を合理的に行うことができる。
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