| 研究概要 |
この研究では,梁降伏先行型の鋼構造ラーメン骨組の地震応答を精度良く追跡できる解析方法を開発し,その地震応答性状を検討することを目的とした.
接合部パネルを含めた純鉄骨部材や柱脚の挙動については,精度良く追跡できる解析プログラムを既に開発している.この研究では,1次元有限要素法でモデル化された鉄骨梁に,コンクリートスラブの挙動を近似する要素を付加することによって,合成梁の弾塑性解析を可能にした.また,この方法による解析結果を既往の実験結果と比較しながら,解析モデルにおけるコンクリートスラブの有効幅やコンクリートの応力度-歪度関係の劣化勾配について検討を行った.
次に,現行の耐震規定にしたがって設計された現実的な鋼構造骨組を対象に,前記の方法による地震応答解析結果と,合成効果を無視した解析結果を比較して,コンクリートスラブの合成効果の影響を検討した.その結果,コンクリートスラブの合成効果を完全に無視すると,固有周期は5〜10%程度長くなり,最大層間変位角も1〜1.5倍程度に増大する傾向があることや,鉄骨梁の断面2次モーメントを割増すことで曲げ剛性の増大だけを考慮すると,塑性ヒンジ法を用いても,最大層間変位角については良好な近似が得られることなどを明らかにした.
その他,梁降伏先行型骨組の地震応答の基本的な性質を明らかにするため,柱梁耐力比が最大層間変位角応答に及ぼす影響について検討し,各層の変形を一様化するために要求される柱梁耐力比を明らかにした.また,鋼構造骨組の地震応答解析における粘性減衰の取り方についても検討を行った.
以上の研究成果は,日本鋼構造協会鋼構造論文集などに公表,または,投稿中である.
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