研究課題
基盤研究(C)
本研究では、連層鉄骨ブレースで耐震補強した鉄筋コンクリート(RC)建物が三方向地震力を受ける際の耐震性能を精度よく評価するために、以下の二つの課題について検討した。なお対象とする破壊モードは、連層鉄骨ブレースを含むRC部分骨組の全体曲げ破壊(付帯柱の全主筋が引張り降伏)である。1. 面外曲げと圧縮軸力とを受ける連層鉄骨ブレースの力学特性の把握および耐震性能の評価2. 三方向外力を受ける連層鉄骨ブレースが下階壁抜け柱に対する軸力補強を兼ねるとき、鉄骨ブレースの破壊モード遷移にともなう耐震性能の評価および下階壁抜け柱の性状の把握これらの課題を解決するため、連層鉄骨ブレースで補強したRC平面骨組および立体建物に三方向力を静的載荷する実験、連層鉄骨ブレースおよび直交する下階壁抜けフレームを有するRC立体建物の三方向静的漸増載荷解析および連層鉄骨ブレースで補強したRC平面骨組を対象とした非線形三次元有限要素(FEM)解析を実施した。得られた主要な結論を示す。(1)二方向水平力を受ける補強骨組は水平一方向外力を受ける場合と比較して保有水平耐力は10%程度低下する。その原因は二軸曲げを受けるブレース付帯柱の脚部コンクリートの早期圧壊である。(2)最大水平耐力時に、下階壁抜け柱でかつブレースが付帯するRC柱のコンクリートはほぼ圧壊したが、二層の直交耐震壁が抑え込み効果を発揮する時に圧縮側となるもう一方のブレース付帯RC柱のコンクリートも圧壊した。最大水平耐力後、ブレース付帯RC柱に沿わせた鉄骨縦枠がコンクリートの負担できなくなった圧縮軸力を肩代わりし、付帯RC柱の軸崩壊を防いだ。(3)連層鉄骨ブレースを含む部分骨組が全体曲げ破壊する場合には、ブレースに隣接する下階壁抜け柱だけでなく、他方のブレース付帯柱にも同等の圧縮軸力が作用し、圧壊する可能性があるので注意が必要である。
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コンクリート工学年次論文集 Vol. 29, No. 3
ページ: 1147-1152
Proceedings of the Japan Concrete Institute Vol. 29, No. 3
Twenty-first Century COE Program Tokyo Metropolitan University
ページ: 103
http://www.eng.metro-u.ac.jp/kitayama-lab/