17年度に引き続いて、微粒石炭灰によるコンクリートの品質改善効果を明らかにするため砕砂と細目砂の混合砂を細骨材とした砕石コンクリートについて、JISフライアッシュII種を使用しFA置換率を0、15、25%とし、化学混和剤にAE減水剤および高性能減水剤を用いスランプ12〜24cmとしてFAによる減水効果と乾燥収縮低減効果は置換率が大きいほど大きくなるが圧縮強度が低下すること、FAと高性能AE減水剤の併用が最も減水効果が大きいが乾燥収縮低減効果はFAとAE減水剤の併用と同程度に過ぎないこと、FAと高性能減水剤を併用した空気非連行コンクリートが最も乾燥収縮低減効果が大きくなることなどを明らかにした。また、FAを大量使用したコンクリートに関する17年度の研究を集大成して日本建築学会構造系論文集に掲載するとともに、コンクリートの静弾性係数におよぼすFAの種類と置換率の影響について検討し、NewRC静弾性係数推定式の混和材係数k2の値はFAの種類によって異なること、野口の提案値1.1より小さく1.05であることを明らかにした。また、コンクリートの諸性質におよぼすFAの粉末度の影響に関する17年度の実験結果をまとめ、コンクリート工学年次論文集に発表した。さらに、FAコンクリートの欠点である中性化の増大に関して既往の報告に関する文献研究を行うとともに、屋外暴露したFAマスコンクリート部材の長期材齢のコア強度と中性化の試験と、その後の中性化促進試験から表層に中性化層がある場合は中性化の進行が√<t>よりも遅くなることを明らかにし、既往の屋外暴露の構造体・部材および供試体の圧縮強度と中性化速度の関係からFAコンクリートでも置換率20%程度まではJASS 5の耐久設計基準強度の標準値に対する割増は不要であることを明らかにした。
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