戸建住宅のための地盤調査法は、スウェーデン式サウンディング(SWS)が主であるが、簡便迅速である反面、土質判定が難しい、地中障害物に接触すると貫入不能となる、などの問題がある。本研究で取り扱う調査方法は、表面波探査、ラムサウンディングである。以下、調査方法毎に研究目標を示す。 1)表面波探査:通常のサウンディングは、一点の深さ方向の地盤情報にすぎないが、物理探査のひとつである表面波探査では面的な地盤情報が得られるので、地層の変化や地中埋設物の存在の可能性など、基礎設計に有効な情報が得られる。本研究では、上記の点を踏まえて、表面波探査法を用いた調査法の利用方法を提案する。 2)ラムサウンディング:標準貫入試験(SPT)はわが国で最も普及した貫入試験であるが、これと等価な動的貫入試験として導入されたラムサウンディング(SRS)は、ISO22476:2002においてSPTと並んで規格化が進んでいるが、わが国ではあまり普及していない状況にある。標準貫入試験は、狭隘な敷地で装置の搬入等が困難な場合があることや経済性に難があるため、住宅のための調査法として利用することが容易でない。本研究では、ラムサウンディングの利用技術を確立するため、ラムサウンディングの調査結果と他の一般的な調査手法による結果を収集分析し、基礎設計に利用可能な手法を開発することを目的としている。 2006年度は、福岡県西方沖地震による被災地(玄海島)や首都圏近郊、九州地区などで、上記の2つの方法を含めた種々の調査を行い、宅地地盤の性能評価や住宅用の杭の性能評価に利用するための方法について検討を行った。
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