研究概要 |
本研究の目的は,以下の3点である. (1)大気の物理気象学的要素(雲量,雲高,雲形,エアロゾル,混濁度)の実測データをパラメータとして,連続測定中の昼光気象観測データを解析し,天気・時刻・季節の変動を再現する「標準昼光気象モデル」を開発すること. (2)申請者が開発した「気象衛星画像による昼光気象データの準リアルタイムモデル」に,雲量及び雲形をパラメータとして導入し,精度の向上を図ること. (3)自然光を活用して快適な光環境を維持しつつ照明エネルギーを削減する環境共生建築のための昼光照明設計法、すなわち「環境共生型昼光照明設計法」の要件を整理してその枠組みを確立し、「標準昼光気象モデル」及び「気象衛星画像による昼光気象データの準リアルタイムモデル」を,申請者が開発した昼光シミュレーションプログラムに適用し,本研究の精度と有用性を実証すること. 本年度は以下の研究を実施した. (a)ビデオ測色法による地上観測:新たに高精度・高階調のデジタルカメラ2台を導入し,それぞれに特製のアタッチメントを介して魚眼レンズをとりつけた。制御用PCで15分毎に自動撮影し,ビデオ測色法により全天空の輝度分布および相関色温度分布に変換した. (b)気象衛星画像解析による上空観測:気象衛星画像解析では,静止気象衛星が1時間毎に撮影する可視画像,水蒸気画像,赤外画像を利用し、地上での照度の予測を行った。 (c)天気の変化に応答する昼光照明制御システムの開発:ビデオ測色法により全天空の輝度分布を測定し、室内の昼光照度をシミュレーションにより予測して、基準照度を満たすように人工照明調光するシステムを開発した。模型実験により実現可能性を実証し、年間シミュレーションでは61%もの照明電力を削減可能であることを示した。
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