研究概要 |
1.調査概要:2005年8月26日から9月17日にかけてハノイ市内の主な幹線道路沿道の8地区を対象として、道路交通騒音の影響に関する社会調査を実施した。調査票の回収総数は1,676、回収率は49%であり、十分な回答数が得られたものと考えている。9月18日から26日にかけて道路端での24時間の騒音測定、短時間の距離減衰測定、ビデオ録画による交通量測定を実施した。各地区の住宅は道路端からほぼ等しい距離にあるため、騒音測定データを基に各地区の騒音暴露量の平均値を代表値として求めた。その結果、24時間の等価騒音レベル(L_<Aeq,24h>)は70〜77dB、昼夜等価騒音レベル(L_<dn>)は74〜83dBあり、きわめて高い騒音暴露量であった。1日の交通量はバイクが7,4000〜182,000台、小型車は4,100〜16,600台、大型車は500〜2,700であり、ハノイの道路交通騒音はバイクの定常的な走行音と頻繁に鳴らされる衝撃的なホーン音で特徴づけられる。 2.暴露-反応関係:L_<dn>と%Highly Annoyed(非常にうるさいと反応した人々の割合)の関係を求めると、Schultzの総合曲線にほぼ合致した。現在、欧米や日本でL_<dn>が75dBを越える地区のデータを収集することはきわめて困難である。ハノイ市内の8地区は高暴露地区であり、その反応がSchultzの総合曲線にほぼ合致していることが示されたことは、ベトナムの騒音政策だけでなく国際的な騒音政策の議論にきわめて貴重な資料を提供できたものと考えている。 3.介在変数の影響:騒音源に対する態度(社会的有用性、使用頻度、安全性)に関して厳しく思っている人ほど騒音に対する反応は高く、FieldsやMiedemaらの知見と一致した。人口統計学的変数に関して性別の影響は見られなかったが、年取った人ほど反応が高く、これまでの結果とは異なっていた。
|