アンケート・ヒアリング等により、日本における地域分散型エネルギーシステムの実態を調査し、日本における地域分散型エネルギーシステムの問題点を明らかにした。日本における地域熱需要の特性、気象条件及びエネルギー消費原単位のデータベースを構築し、電気、ガスなどエネルギー供給料金システム、分散型電源及び冷暖房設備技術などの情報を把握し、分散型電源の導入にかかわる補助金や税金など財政的な情報等は国、行政の政策等の調査により明らかにした。 地域分散型エネルギーシステムを導入するため、その地域の特徴、現在にある分散型技術及び投資行為を総合的に判断した上で、地域分散型エネルギーシステムの導入可能性、事業性及び最適な設計を行うツールを開発した。具体的には地域分散型エネルギーシステムにおいて顧客の全体費用を最小化にする目標関数を構築し、その目標関数は施設及び顧客基本料金、月需要料金、オンサイト発電燃料費及び運転管理費、分散電源の初期投資、炭素税、待機費用及び売電収益等部分を含んだ。目標関数に対して暖房、冷房、厨房及び電気負荷のエネルギーバランス、オンサイト発電容量制限、顧客のエネルギー売買制限、エネルギーの最大量の制限等を条件とし、GAMS理論を用いて、経済性のよい地域分散型エネルギーシステムを選択できるツールを開発した。 さらに開発されたツールを用いて、北九州学術研究都市環境エネルギーセンターにあるシステムを対象とし、最適化モデルを試みとした。ガスエンジンの運転時間及び効率から省エネルギー性、環境性及び経済性への影響を分析する上に、ガスエンジンの最も経済的な運転パターンを探ってみた。また、そのシステムを対象とし、ケースを想定し、そのツールを通じて建築設備システムへ導入することを検討した。太陽発電、燃料電池、ガスエンジン等を含めた分散型エネルギーシステム技術を地域に導入する場合、最適的な組み合わせを求めた。
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